北原白秋「おかると勘平」が発禁されたというので、その元ネタを知りたかったのだが「忠臣蔵」のサイドストーリーだった。

忠臣蔵の四十七士の一人。事件の最中に女中のおかると逢引してたことがばれ、家来を破門されて、おかるの実家で暮らす。しかし、武士としての勤めが忘れがたく殿の敵討ちをしたいと願っていた。ある日猟に出たときに鉄砲で人を殺めてしまう。それは、おかる一家が勘平を家来に戻す為に娘を売って、戻る途中に強盗にあった爺さん（勘平の義父）だった。その夜、義父は野盗にあって金を盗まれ、殺された。それを義母は勘平の仕業と思い責める。勘平も自分が殺したのはお父さんだと思い込み切腹するのだ。後になって勘平が殺したのは強盗で勘平はその敵討ちをしたのだとされて四十七士に復帰がかなう。そして、血判状に勘平の名前が加えられる。おかるは勘平の悲劇を女郎屋で知るのだが身請けして再び御台様の女中になって「忠臣蔵」の一人に勘平が加えられたことを知って涙するのだった。

萬屋錦之介は当時東映のスターで東映の時代劇に引っ張りだこだったのだろう。錦之助の美貌は雷蔵かと思わせるものでそれが『蒲田行進曲』が作られたのだろうか？なるほど東映のスターは錦之助だと思わせる時代劇だった。

白秋とはまったく関係がないのだが、白秋も勘平のように追放されたのだと思うと納得がいく。勘平は槍持ちだったのだ。槍は男性器のシンボル！

忠臣蔵銘々伝。
早野勘平は松の廊下事件の時、腰元おかるとイチャイチャしてた為に赤穂藩を追い出されるも２人は夫婦となり京都の山奥で猟師になっていた。そんなおり浪士に寄付すれば仲間になれるという情報を入手→夜遅くまで猪狩りに精を出す・・・ここから話が動き怪談と見紛う因縁話な展開になり面白さ倍増。悲劇的な結果だがラストエピソードはちょっとじわるよ。

モノクロ 1956年4月19日公開

時代劇って大抵「御存知」前提なのだけど、テレビ時代劇すら絶えた昨今では、実は正直詳しく存じ上げないのですよ忠臣蔵。そんな無知な私でも分かりやすいよう、わざわざご親切にもタイトルに「悲恋」と掲げ、次から次へと裏目、裏目に出てしまうのが悲劇のセオリー。そういう間口の広さが、大衆向け娯楽映画の東映さまさま。

• #東映
• #白黒