せびたん

この世に私の居場所なんてないのせびたんのレビュー・感想・評価

3.2
鬱モード全開女子ルースの不思議な冒険物語。
冒険といってもどこか遠くへ出かけるわけじゃなく、生活圏内に存在した知らない世界を覗き見るパターン。
コメディタッチの優しい世界の物語でした。

「チャンス(ピーターセラーズ)」とか「ラースと、その彼女」とかの系統に私は勝手に分類しております。この2作との違いは、ルースが優しい世界の外側を覗き見る時、激しい暴力が存在すること、ですかね。バディ役がフロド様(ロードオブザリングの主役)だというのは豪華ですね。

ルースって抗鬱剤飲んでたから鬱病女子ってことでいいのかもです。
薬を服用してれば看護助手の仕事は毎日ちゃんとこなせていたようなので軽度なんですかね。
やってること•考え方のパターンや言ってること、他者との齟齬っぷりとかが知人の鬱病女子によく似てて、リアルだなあって思いました。作中にあったように鬱病の人って、スーパーのレジとかで割り込まれたりすること多いんですかね。私の知人もそんなことをよく言ってて「自分のことが誰にも見えてないんじゃないかって不安になる」ってよく言ってるんです。
「それってそんなに頻発することじゃなさそうだし、気にしすぎてて大げさに言ってるのかな?」って私は思ってたけど、もしかすると頻発してるのかもしれない。思ってるだけにしといてよかった…。

森でのシーンや室内のシーンが多く、作品の雰囲気を醸し出すのに重要な役割を果たしていたような。森のシーンがとてもきれいでよかったです。

また冒頭の夜のシーンが一発で主人公の女の子の状況を表わしてたので映画っぽくていいなあって思いました。こういうのカッコいいなって私は思うんだけど、年々こういうことやる映画が減ってきてるみたいで寂しいです。2周目した時、初めて冒頭の意味に気付くこともあったりしたのは懐かしい思い出ですわ。あ、最近の映画で2周目に入ること少ないから気付かないだけやったりして。笑

鬱病になる人って内面に優しい平穏なピュアな世界を持ってるのかもな、なんてことも思いました。鬱病についてあれこれ考えさせられる映画でした!
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