MikiMickle

アトミック・ブロンドのMikiMickleのレビュー・感想・評価

アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)
3.5
舞台は冷戦時代の旧ベルリン。
MI6の女スパイ(シャーリーズ・セロン)がある失われた機密リストを奪還し、裏切り者を見つけ出すという任務につく。
各国のスパイがそのリストを狙う中で、疑いと猜疑心が交差していく。コンビを組まされた怪しげな一匹狼のスパイ(ジェームズ・マカヴォイ)は信頼出来るのか。使命は遂行できるのか……という話。


まずとにかく、女スパイ役のシャーリーズ・セロン姉さんの肉弾戦がすごい‼‼
映像や雰囲気はスタイリッシュなのに、やっている事は生々しい肉弾戦‼ これ、めちゃくちゃかっこいい‼‼ 実に実に人間くさい‼‼
銃も使うが、弾がなくなったらそれで殴る‼ ハイヒールのかかとも、家のホースも、部屋の鍵も全て武器となる‼
しかも、相手の大半がいかついロシアのKGBときてるものだから、力任せにウガァーときて激しぶとい奴らを相手に、ほんと大変で痛々しい(笑)
時にスマートにクールに、時に自らもボロボロになりながら、姐さん戦いますっ‼‼

女版ジョン・ウィック‼ 女版イコライザー‼ いや、女版と付けるのは間違ってるし、申し訳ないですっ‼

ビジュアルワークもかっこよく、姉さんの泊まるホテルの部屋のビビッドさや近代さが際立っていました。
一方で、荒廃した東側のパンクスたちの反骨精神などは、細かな描写で些細に描かれていて、じわじわとその精神を感じたりしました。


それだけでなく、舞台が冷戦最終のベルリンという事で、改めて冷戦というものについて考えさせられるものでもありました。明確に二分化していた時代。
些細な事でも“西”と“東”の違いを感じさせる演出が非常に面白く。
東西ベルリンを行き来する主人公たちの背景に、看板ひとつにしても違ったり、圧政や生活レベルの歴然とした違いなどを垣間見れるため、飽きる事のなく楽しめました。

そして、西側諸国内部でももちろんあったであろう瀬戸際外交とその裏的なものが、
「誰を信じていいのかわからない」というこの映画の軸ときちんとリンクし、そういった面でも上手く出来ていました。

音楽やビジュアル及びファッションがスタイリッシュであるアクションというだけでなく、あの時代も含めて今でも通じるそういった裏社会情勢は常にはこびっているのだというものも感じる映画でした。正直、アクションよりもそっちの方が面白かったです♪
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