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ヘルタースケルターのyuuukaのネタバレレビュー・内容・結末

ヘルタースケルター(2012年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

蜷川実花さんの写真、映画、作品がとにかく好きで、問題になってから見れなくなったら困ると思い、急いで借りて見た。とにかく圧巻の一言。分かりきってはいるけれど、実花さんの実花さんにしか出せない映像美。現在と昔では映像技術が大きく違うけれど、その障害を一切感じなかった。本当に細部までこだわりが詰まった世界観を、全て目に収めることに必死だった。その映像美に浮くことなく、本当に実在するかのようなオーラを放つ沢尻エリカ演じるリリコ。漫画から出てきたかのようなその完成度に驚き。美しくなりたくて自分磨きをする人は世の中たくさんいるけれど、限度を見失うと美は凶器と化する。美容整形が普遍化してきた現代にピッタリな作品だなと思う。
また、"コズエ"が出てきたところで「リバースエッジ」を先に見た私は物語がリンクして興奮した。無気力系で才能はあるコズエのキャラクターはリバースエッジとはまた違った角度で機能しているなと思った。必死にすがりついてテッペンを勝ち取った、存在を忘れられること=死と考えるリリコにとって、何となくモデル業をしてあっさりテッペンを奪ってくるコズエの存在は脅威でしかない。リリコが不憫でならなかった。
この作品で一番好きなところはリリコとリリコの妹が再会するシーンだ。自分を上げるためならなんでもする闇を全面的に見せる中で、実の妹といる時はごく一般的な優しいお姉ちゃんなことを妹がリリコを尊敬している姿勢から見て分かる。そのシーンだけはやさしい気持ちで見ることが出来た。
まとめると同じ女性として考えさせられるところが多かった。ドラック依存や人を罵るシーン、過激なシーンが多いだけに普通の精神状態でこの役を演じるのはなかなか厳しいのではないかと勝手に思った。たくさんの大物俳優が出演し、演技力に申し分ないこの作品が見れなくなることがあったらものすごく勿体ない。今の女性にこそ見てもらいたい作品である。
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