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全員死刑のtakatoのレビュー・感想・評価

全員死刑(2017年製作の映画)
4.1
 平山夢明先生と監督のトークショーまで含めての評価です。渋谷にふらっと見に行ったら、偶然トークショー付きの回で驚愕した今日この頃。そして、その瞬間が最大で、作中ではそれを超えるものは残念ながらなかった。

 映画好きの方には、アメリカ映画の「ペイン&ゲイン」か、韓国映画の嫌な感じ系の作品を連想されたかもしれないが正直あれらには届いてないかなぁ。前者の豪快な馬鹿さにも、後者の絶妙な不快感と突き放される感じにも届いてなかった。トークショーに出ていらした平山先生の、劣化日本を象徴するような狂いすぎて爆笑させてくれる凄まじさがあったらなぁ…。

 役者さんも間宮さんみたいなイケメンだとやはり少々弱い。周りの人にもどん詰まり感があまりない。都会にいればたびたび見かける、もう壊れちゃってる人の感がイマイチ出ていない。韓国映画だと嫌な湿った感じの、どうしようもないくらい汚い人たちが出たりするけど、少し綺麗にまとまっちゃってる。

 しかし、映像は全体的にかなり良い感じ。日本映画で低予算だと、これ映画?みたいな、映像の質だけで萎えるような作品もあるが、本作はなかなか印象に残るカットがあってグッド。

 ただ、一番気になったのは終わり方。それぞれのその後をテロップで表示するというのは、この手の作品では基本だけど、その字で説明されてるところの方が本篇より興味をひいた。これだったら、彼らの捕まってる時のトンデモナイ行動から始めたり、もっと編集で出鱈目やったほうが良かったような。「ナチュラルボーンキラーズ」みたいに。
 
 全体的には言いたいことが多い作品だったが、こういう外国ではよく作られ、日本でも昔はよく作られてた実録映画が日本で復活していってくれたら凄く嬉しい。「凶悪」などの白石監督も頑張ってるし、やせ細っている過敏でフニャフニャな現代日本でも希望が持てる。

最後に素晴らしい本作のキャッチコピーを

「美談、偽善蔓延、ウソクソ社会をぶっ殺せ!」
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