せいちゃんが歌うってなって、ツチダが泣いて、私も泣いて、困ったようにせいちゃんが笑って。
あの空間、きっと愛おしくてたまらない。
暖かい空間。
宝物を見るように互いを見つめる眼差し。
2人が恋人同士の時に薄れてしまっていたお互いが大切だって気持ち。
こんなに大切なのに、どうして恋人同士だと大事に愛することができないんだろう。
その関係を脱ぎ捨てた瞬間2人を隔てるものはなくなりこんなにもまっすぐに見つめ、笑い合い、歩幅を合わせて歩けるのに。
結局、ツチダもせいちゃんも、ちっともクズなんかじゃなくって。
2人ともちょっと躓いて、ちょっと道逸れて、そしたらいつの間にか離れて、まあいっか。ちょっとの不幸、ちょっとの諦めがちょっとずつ積み重なっていただけ。
あれ、あたしなにやってんだ。
そう気付いた時にはもうだいぶ遅かったけど、
ふたりとも真っ当に相手を愛していて。
だから自分の人生でも相手の人生でもないよくわからない人生を生きてしまっていた。
ふたり、一緒には生きてけないけど
これからは自分の人生を生きてくんだね
生きていけるんだね。
私にとってこれはハッピーエンドの物語でした。
