役所広司演じる大上のリスクを取り続けるその一挙一動はハラハラして目が離せない。アンチヒーロー的側面を期待するのはもちろんだけどそれに見事に応えた。毒をもって毒を制すという話を過不足なく消化しきってると思う。そして血を受け継ぐ日岡の成長ぶりもまた松坂桃李の目を通して実感できるようになり彼の出番が多くなるにつれ推進力が増していくのも面白かった。
役者陣がカッコいい。どのキャラも魅力的に撮られている。特に松坂桃李の鋭くなっていく眼光は特筆すべき。暴力描写に攻める方も受ける方も全力。組の構成員に至るまで顔の濃ゆさが刻まれてます。
映画ならではの印象的なカットも良い。
クラブで大上と日岡の会話をワンカットで撮った場面の緊張感。養豚場でのアクションシーン。終盤の狭いトイレの中をカメラが回る場面なんてよく撮ったなと。
14年前の事件の真相に関しては正直無理があるように感じたが役者の熱量で乗り切れたように思う。あと大上の真意が明かされる場面はお膳立てされてる感が強くなる。悪く言えば漫画的でこういう展開はとても好物だけど少々湿っぽくなったのは残念かな。まぁ泣いてるんですけどね。大上の行動１つ１つを見れば狂気じみてるけど結果的には彼なりの信念があったわけで。彼が見せる良心は１つだけ見せてくれれば満足だったんですけどあれもこれも説明しすぎかなと。まぁ泣いてるんですけどね。
鮫エキスや完全にヤクザな中村獅童の登場は監督のサービスかな。
こういう血や汗が匂い立つような映画が韓国映画からじゃなく日本から出てきたことに嬉しくなります。１年に１本とかではなくもっと見たいね。
