風の旅人

孤狼の血の風の旅人のレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
3.5
壁に貼られた広島カープ優勝のポスターを見て、ある逸話を思い出した。
当時巨人戦を控えたカープの選手たちが東京駅に降り立った。
するとその風貌を見た一般客が、広島のヤクザが東京のヤクザに殴り込みをかけにきたと勘違いし、警察が出動する騒ぎになったと言う。
たぶん嘘だと思うが、当時の選手たちの写真を見てみると、ヤクザと見間違えられても仕方がないファッション・センスをしている。
それから僕の中で、広島と言えばヤクザというイメージが定着した。

大上(役所広司)は見た目もヤクザだが、言動もヤクザのようである。
大上を見ていると、悪に対峙できるのは正義ではないと思えてくる。
大上は黒と白の「間」に身を置き、「綱渡り」のような生き方を選ぶ。
「警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ」という台詞が印象に残る。
物語は暴力的でありながら、時折挟み込まれるギャグによって、人間臭さを感じさせる。
大上が退場後、日岡(松坂桃李)に継承される「孤狼の血」。
ジッポで煙草に火を点ける仕草だけで表現されるものがある。
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