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孤狼の血のSIのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
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2019.1.24
自宅TVにて鑑賞

「どしたん?…あんた、煙草吸いよったん?」
「おう…吸っとったわ。」

『仁義なき戦い』の再来としてスマッシュヒットを飛ばした今作。既に続編も刊行されており、原作者も映画化に乗り気で今後東映の一大コンテンツになる事は間違いない。

ヤクザものでも視点はマル暴で、松坂桃李演じる新人刑事と役所広司演じるベテラン映画のバディは「トレーニングデイ」を思い出させるワクワクさだ。

越権行為上等の無法者ベテラン刑事を悪として、善である県警から送り込まれた新人刑事だったが、その対立構造が完全に逆転するカタルシスがとてもダイナミックで、続いて起こる新人刑事の成長も素晴らしい。
大体任侠映画というものは最初はきちんと筋が通っていても、次第に腐って保身に走る人間の下らなさを見せつけられるというお決まりのパターンがある訳だが、マル暴は唯一筋を通し続けられるという意味で素晴らしい設定だと思う。

白石和彌監督作品は初めて観たが、時折過剰な演出が見られるものの(任侠にスローモーションはダサ過ぎる)、構図もカラーリングも常に良いし、色々なカメラワークを持っていて素晴らしい。観たいものをきちんと観せてくれる感覚があって全く退屈しなかった。
ハマり役だったのは松坂桃李で、役所広司は勿論だが次作も観たいと思わせる魅力を最後には漂わせていた。序盤の薬屋での痛がる演技は過剰すぎる。

音楽も良かったし言うところが無い。強いて言うのであれば監督の狂気が無い。深作欣二監督と比べるとどうもなあ…
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