価値のある映画を作りたい。
人生の1時間半を捧げたくなる映画を。
1940年、戦火のロンドン。
映画会社の重役達は、政府から士気高揚の為のプロパガンダ映画製作を下命されていた。
女性からの視点を補いたい彼らは、脚本家志望のカトリンを招く。
彼女の才能は脚本チームのバックリーを唸らせ、正式にカトリンを採用、新作映画の製作に着手する。
ダンケルクの戦いにおいて、民間船で兵士を何人も助けたという姉妹を、カトリンは取材する。
しかし、その情報には大きな誤りが。
戦況が追い込まれる中、国民が求め、国が与えるべき娯楽には、信憑性と楽観のバランスが大事。
カトリン達は無事映画を完成させることができるのか?
クリストファー・ノーランが「ダンケルク」で描いた、イギリス連合軍撤退の物語。
撤退という負の終焉を、如何にして奇跡の生還へと昇華させるか。
当時のイギリス政府は、何としてでも映画という娯楽を通して、国民に有終の美を強調したかったのでしょう。
この作品で描かれたのは、その大作戦の裏で起きていた小さな物語と、その真偽と、映画を作る人々の熱い思いです。
真実は知りたいけれど、ドラマチックな脚色が施されている方が魅力的に決まっています。
映画は虚構の世界ですから。
1940年当時に作られた映画の手作り感。
これがまたいい味を出してます。
スケールよりも、こじんまりとまとめたことで、全体的に丁寧な仕上がりになってます。
キャスト陣に関しては、ビル・ナイしか知らなかったんだけど、逆に先入観なく見ることができました。
アメリカ人軍人役のカールが笑わせてくれます。
ああいう役者さん、いそうだもんな。
特に戦時中のイメージ戦略下なら尚のこと。
あ、キャストと言えば‼︎
ものの数分ですが、見ればすぐに分かるあの俳優さんもゲストで登場。
さすがの貫禄。