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5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生のSのレビュー・感想・評価

3.5
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視力の95%を失った青年・サリーが、障がいを隠して5つ星ホテルでの研修に挑戦する。同僚の手助けもあり様々な部門での研修をこなしていくが…。
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実話に基づくお話だけど、友情・恋・社会問題をバランスよくまとめたエンタメ作品。
丁寧に描いた感動系かな?と勝手に思ってみたので、んー…と思ってしまった。まあこっち側の問題だ。

どこまで実話か分からないけど、恋愛とか移民問題とか、研修中の同僚のハチャメチャ具合とか、結構脚色されているように感じて、「極度の弱視を隠し続けて努力した」っていう事実のすごさが薄れてしまっている気が。社会問題の添え方がなんかわざとらしいのかな。
ラストも「あ、なんかそういう感じ!?」という終わり方だった。

モデルになったサリヤ・カハヴァッテさんは、実際は弱視を隠し続けて15年も働いたそう。すごいな、どうやって。彼のリアルな人生の方が重みがありそうで、みたかったかも。

それでも、サリーを障がい者として「守られるべき者」として扱うんじゃなくて、出来ること・出来ないことをみんなが補い合って支え合う姿勢とか、諦めない姿勢とか、なんか普遍的なことを伝えようとする良さはあった。

イケイケな同僚の相棒とも、お互いがカバーし合っていたし、弱視のせいでスライサーで手を切ってしまった時も、厨房のお偉いさんが出来ない事を叱ってその作業から外すんじゃなくて、どうやったら弱視のまま出来るようになるかを考えてくれたし、移民のためにサリーが手助けするシーンなんかもまさに。

そういう人たちがいたから障害を隠すんじゃなくて、カムアウトして人に頼ってもいいんだって気づく。そうなれたのは、サリーの努力だけでなく、周りの環境もあるんだな、とこちら側の姿勢を考えさせられた。
「幸福への道はない 道が幸福なのだ」
「急ぐなら独りで行け、遠くへ行くなら仲間と行け」
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