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ソウルメイト/七月と安生のkazataのレビュー・感想・評価

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)
5.0
『少年の君』がなかなか良かったので、デレク・ツァン監督×主演チョウ・ドンユイの過去作をウォッチ……個人的にはこっちの方が断然素晴らしい映画だと思う!
(そして年齢不詳なチョウ・ドンユイのキュートさ&演技力がやっぱり凄まじ過ぎる!)

予告編↓
https://youtu.be/tYu7sd5KHNk

保守的な性格の"七月"と自由奔放でエネルギッシュな"安生"。13歳で出会って親友になった二人の少女が、27歳で決定的な別れに至るまでの三角関係&愛憎劇を描いた"友情フォーエバー"系の物語なんだけども、(『少年の君』と同様に)クライマックスにかけての感動展開の強度がハンパないって!
おまけに今回は(個人的に刺さりやすい)"フィクション愛"爆発展開炸裂だから、切なくも温かい結末に止めどなく涙が溢れてしまいました。
(「巧いミスリードほど心地良いものはない」ってことを久々に思い出せた…ってほどにいい脚本&構成力)

(二人の価値観の違いをブラジャーで表現する辺りのセンスもナイス)

("影踏み"の件もフリとオチが効果的でグッド)

(故郷を離れる時に安生が電車内で進行方向とは逆向きに座っているのとか、関係性の変化を"水"や"ベッド"を用いた反復シーンでサラッと描いてみせる辺りも秀逸)

(安生の「七月か彼かどっちかを選ばなきゃいけなくなったら、私はいつでも七月を選ぶ」的な台詞があるけど、その真の意味がわかった時にまた涙)

誰にも縛られない"自由"を胸の内に抱えて生きること、そしてその"自由"をフィクション世界内で実現すること……まさに本作は自分が求めていた現代の中国映画でした。
("男からの自立"を描いている点でも同時代的な映画と言えるでしょう!)
(男が家事をする描写も目立つしジェンダー論的な側面から見ても面白い作品でした!)

(中国では映画の後でドラマ化もされたみたいだけど……日本では映画祭で上映されただけで一般公開も無しという事実が理解不能……関西圏のみ過去にテレビ放送されただけで終わりって何!?)

(『花とアリス』や『Love Letter』っぽいと思ったら…まさにエンドロールで岩井俊二へのリスペクトが捧げられてるじゃん!!)
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