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ファースト・マンのロクのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.0
人類で初めて月面に降り立った人物ニール・アームストロング船長の半生を書き記した伝記「ファーストマン ニール・アームストロングの人生」を元に「セッション」や「ラ・ラ・ランド」のデミアン・チャゼル監督が映画化した人間ドラマ。本作は娘の死や計画途中の事故で命を落とした仲間達に心を痛め自らにも迫り来る死の恐怖に怯えながらも勇気と信念でそれを克服し困難に立ち向かって行く男と二度と戻らないかもしれない彼を気丈に送り出し幼い息子達に父の凄さを言い聞かせる妻の姿を通じて人類初の月面着陸という偉業を成し遂げたニール・アームストング船長を英雄ではなく1人の人間として描ききったチャゼル監督の手腕が光る1本となっており、凄く良い作品でした。
あえてセリフを減らし表情や仕草で感情を表すことで彼が抱えている苦悩や恐怖を表現したニールを演じたライアン・ゴズリングと片道切符になるかもしれないアポロ11号乗船前日なのに子供達に真実を伝えようとしない彼に耐えてきた感情を爆発させる妻ジャネットを演じたクレア・フォイ2人の熱演は本当に素晴らしかったです。また、数々のミッションを手持ちカメラによるロケット内部にいる乗組員達のアップ映像中心で描いているため自分が実際にロケットに乗っているかのような感覚にとらわれて緊張感漲る体験が出来たのも良かったですし自分はDOLBY CINEMAで鑑賞しましたが16mmカメラからIMAXカメラまで巧みに使い分けて撮影された月面などの映像も美しかったです。メインとなる月面着陸をサラッと終わらすなど映画的カタルシスを排除したドキュメントタッチの演出は賛否を呼ぶかもしれませんが月面着陸という偉業に挑んだ男とその家族の姿を独特の感性で描ききったチャゼル監督の手腕は見事なものだったと思います!ミュージカル、SFと様々なジャンルに挑戦する監督の次回作はどんなものになるのか期待せずにはいられませんね。
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