静かだった。
仕事帰りで疲れていたので、最初からあまりストーリーが入り込んでこなかったが、
主人公が過去のトラウマを抱えながらも静かに生活しつつ宇宙飛行士として月を目指すという、どこか矛盾した現実感が、
疲れて悶々としながら映画館に足を運ぶその時の自分に重なった。
宇宙飛行士、月面着陸、アームストロングという夢や英雄のイメージとは随分かけ離れた感じがあり、
そのギャップに好感を持てた。
頭が良く真面目で、臆病で、繊細で、
彼を最後まで掻き立てたものは何だったのか。
犠牲になった者たちのためか。
家族のためか。
死んだ娘を忘れるためか。
誰にも計り知れない人間の内側の部分を見せられてる様な感じがした。
映画館でわたしは何を観たかったのか。
おそらく宇宙の映像ではなく、娘のブレスレットを月へ放るゴズリングの心模様だと思う。