観終わった直後、一緒に観ていた恋人が泣き出したので、少し戸惑っていた。
オトナ帝国の"におい"に支配された大人たちと、いまの自分を重ねたのだと言う。
子どもの頃に欲しくても手に入らなかったものが、大人になると自分で買えるようになる。
何かの穴埋めをするかのように、サッカーユニフォームを買って着たり、駄菓子屋の駄菓子を山のように買って食べてみたり。
我慢してきたもの以上に、
"いま"が大切なのも知ってる。
辛かった過去と、大切な今と、
大人になってしまった自分を外側から見た気持ちになって泣いたんだと思う。
子どもの頃に観ていたクレヨンしんちゃんも、立場は大人側だ。
自分はどうかと思い返すと、欲しかったものが手に入らないという苦い思い出がそもそも出てこない。
恵まれていた環境だからこそ、
欲しいのは物欲そのものだった。
育った環境こそ違えど、
昔観たものを一緒に観返すことで、互いの昔話や今の想いを語り合えることもある。
そんな幸せな時間を共有できた。
良い映画とは、観終わった後で、
如何様にも変わるのかもしれないと感じた。