賢太郎

ファースト・マンの賢太郎のレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.0
★2019年劇場鑑賞作品3作品目。

そりゃこのコンビ。観に行かない訳が無い!と思いつつ、海外旅行をしていたのでようやく鑑賞することが出来ました☺️チャゼル監督はクリストファー・ノーラン監督と同じように「どういう頭の構造をしているんだ??」と思わせられる天才の1人だと勝手に思っていますが、今作もやはりその才能を存分に発揮していたように思います。

物語のあらすじはだいたい描かれている通りですね。月面着陸に人類で"初めて"成功したニール・アームストロング船長の話です。勿論宇宙空間での演出も多彩なのですが、今作はどちらかというとニールと家族、それから同じ仲間たちとの喪失やそれを乗り越えていく姿を重点的に描いた作品になっていますね。

冒頭のシーンから衝撃的。BGMがいつも最高なんですが、この作品も耳に残るそれでいて煩くない音楽が印象的です。心情を音楽が代弁してくれるような演出という感じ。特に今作は"苦悩"といった感情が随所に散りばめられていて、宇宙飛行士は『人の夢を背負っている』だけあって本当に大変な職業なんだなと改めて実感。

それから奥さんの表情が印象に残りました。どうしても離れている時間が多くなる中で、彼女は『安定』を求めていたのにも関わらず、宇宙飛行士を旦那さんとして持つ妻の心情がヒシヒシと伝わってくるあの雰囲気は絶妙だと思います。

何よりラストのシーン。2人がガラス越しに向かい合うあの姿は決してハッピーな終わり方、という雰囲気では無い。これまでの道程を思い出し、ようやく月に着陸する目的を達成した1人の男とその帰還を待っていた1人の女というあの絶妙な距離感。一切のセリフが無く目で語り合う2人がどういう心情を抱えていたのか。

ヒューマンストーリーに偏っている癖はありますが、宇宙での緊張感は一級品だし、最後の見終わった後の力が抜けていくような余韻は前2作と変わらない出来栄え。劇場で鑑賞するべきだと思う1作でした。
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