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ロスト・マネー 偽りの報酬のotomisanのレビュー・感想・評価

4.1
 どこの選挙でも実弾が飛び交う。選挙事務所はいいカモだ。で、映画冒頭、盗んだ選挙資金を映画の終わりにまた盗み返して... 簡単に言えばこんな映画。ふつう痛快炸裂泣き笑い活劇仕立てのはずだが、盗み返すのが、最初の盗っ人の細君連中となると様子が違う。
 最初の強盗に合った選対から脅されて細君たちが盗むのが図らずも盗まれた当の現金で襲撃先は敵の選対。とんだ民主主義だ。この構図からして笑わせるところだが、笑う隙など無い厳しい物語に引き回される感じは楽しくない。おまけに話の終わりではヴァイオラが思わぬ相手を撃つ。こいつが最後は死人に口なし、泥を全部被る格好だが唯一ささやかな救いだ。それでも救われる感じをちっともさせないのが、監督の面目躍如かも知れん。
 なにせ撃たれる前に撃つんだなあ。確かにこいつに始末されたくは無いだろうが。それで何十年連れ添ったんだろう。最期は互いに撃つ気で向き合ったんだなあ。それでも死んだそいつの手を握るヴァイオラの姿に一瞬の哀感を覚える。一瞬後には事件の証拠物件の銃を握らせるんだが。実にクール。
 なんとも肩の凝るような話だったが、総じてNatio_Geo.なんぞでやってるライオン山の雌ライオンズがとぐろを巻いて迷惑行為を仕掛けるオス共を時に受忍し、時に反駁しする野生の王国物語の合衆国版のような感じだった。最後ヴァイオラとアリスが向き合う。で、どうなる?
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