ぽち

冬の旅のぽちのレビュー・感想・評価

冬の旅(1985年製作の映画)
3.0
ドキュメンタリータッチで突き放したような描き方だが、繊細な掘り下げは見事で、女性監督の良い面が出た作品。

ただ、自由と孤独をメインとした作品内容は、さすがに今の時代から見るとかなりご都合主義で、倫理的にも容認できる範囲を超えている。

特に「自由」に関する考察は主人公が18歳ということを考えるとアリなのだが、映画作品として訴えた内容としては浅い。

全て「自分が」という前置きの上での「自由」であり、それにより他人が受ける迷惑や被害などは一切考慮していないのはやはり浅いと言えるだろう。

結局自己責任で自業自得というオチになってしまったのは残念だ。

年代による倫理観の違いや、お国柄などを考慮して、当時を偲んで観ると得る物はある作品だろう。



余談。
「自由を求めて」とか、なんとなくカッコいいけど、完全な自由など幻想であることは、世の中の仕組みが見える歳になればすぐにわかること。

それを映画で扱っているのは、基本的に「こんな人がいました」って言う物語をつぐむためで、真剣に「本当の自由とは」とかを語りだすと、たいがいイタイ物になる。

今作はその1ミリ手前で止まっているので、鑑賞に堪えるものになったのだろう。

まぁ、すべてを犠牲にして、他人を顧みず、好き放題やればかなり「自由」という幻想に近づけるのは確かだろう。笑
ぽち

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