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コロンバスのkagoharaのレビュー・感想・評価

コロンバス(2017年製作の映画)
4.5
日本の小津安二郎などから影響を作られたということは聞いていたが、この映画を見ると逆説的に小津の先見性がわかるという、非常に映画史讃歌的な映画。
建築に関するストーリーなので、基本的に建物と人物がなるべくピントが合うように結構パンフォーカス気味の絵が多い。
また、この頃のドラマでよく見るブラックミストフィルターなども使っておらず、割と正統派の撮り方。
日本でも伊丹十三や北野武、黒沢清をはじめとして平面構成にこだわる監督は多いが、最近は被写界深度を浅くして俳優さんの表情や動きに集中させるような映画も結構多いし、機材系のYouTubeをみるとシネマティック=背景のボケた映像と思われているような気がしてたけど、こういう平面構成も大切ですね。
ただ、平面構成に重点を置く映画は絵画的に捉えているので、こだわりすぎるとウェス・アンダーソンのようにセット中心にならざるを得ないはずだが、この映画はタイトルにある実在の街を舞台にしているので、人間ドラマも結構リアル。
昔のミニシアターブームの時なら結構ヒットしたのではないかと思います。

ストーリーは…建築に詳しいが家庭環境から大学進学を諦めた女の子が主人公。その彼女の住む街に講演会のために来ていた建築の先生が急病で倒れて、その家族である息子がやってきて、先の女の子にタバコをもらう事で交流が始まる。建築には無関心を装っていたが、彼女の話を聞くうちに父との関係を見直し、彼女を進学させてあげたいと思うようになる。

派手な事は何も起こりませんが、良いセリフも多く、好きな映画です。

ジャームッシュ作品や「バッファー66」とか好きな人なら結構楽しめそうです。
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