【蜘蛛の巣】
フィンチャーの「ドラゴン~」はその癖の強さから根強いファンがいるのも事実で、その期待に応えようとすると痛い目をみそうな作品に手を出した「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレス監督。
個人的には全く別の作品として楽しめた。
雪の降る世界観と相まって、少しビターなサスペンスアクションへと仕上がっている。
笑いの全くないシリアスで重い作品は極めて僕の好きなジャンルでもあり、満足。
父の虐待から逃れた主人公リズベットと父のもとに残った双子の妹。
女性スパイ映画としてはかなりのレベルの高さだとは思う。特に主人公のかっこよさ・強さに関してはかなり見応えがあった。
彼女は今後なにかのスパイ映画でやっていけそうである。
もっとも、どうにも「最強」といわれる敵の蜘蛛軍団の味付けが弱い。
最初の被害者の話こそ残虐感が出ていて心が震えたのだが、それ以降は良くみるこの手の映画の敵の軍団といった感じ。
もう少し沢山残虐な描写がないと「最強」というには物足りない。
また、動機もいまひとつだった。
特に、敵のボスである女の動機・残虐さが今一つ伝わってこないばかりか、最後の対峙の部分も物足りなさが残る。
見どころとしては、最終版の館の外からの狙撃手のくだりだろうか。
あれはむねあつだった。
サスペンス要素はおまけ程度で映えるアクションシーンに舌鼓を打てるかどうかで評価は変わりそう。
(そういう意味では、原作からのサスペンス(物語)重視の人からすると肩透かしをくらうのだろう。)
2019.6.24