順慶

リバーズ・エッジの順慶のネタバレレビュー・内容・結末

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画の公開は2018年だけど、調べてみると岡崎京子の原作の連載が1993年から1994年。なるほど当時は小沢健二が流行っていたな。
そのころはまだ高校生たちは、携帯電話はもっていなかった。何度かある公衆電話から家の電話にかけるシーンは、いまでは懐かしく感じた。

高校生の青春物語なんだろうけど、これがリアルなのだろうか。荒れている学校でもなさそうだけど、観音崎だけがやんちゃ過ぎる。先生も親もあまり介入してこない。

その観音崎にいじめられている山田は、たまたま河辺の草むらで死体を見つける。山田はその死体を見ることで、気持ちが落ち着くし、生きていることを感じている。山田はゲイだった。
なぜ山田はイジメられているのだろうか。観音崎のストレスのはけ口になっているだけように感じた。

ゲイである山田は苦悩していた。好きでもない彼女と付き合っている。で、離れて好きな男の子を観察している。でも、ゲイであることはこの映画のひとつの要素でしかなく、死と生(もしくは性)の映画だった。
高校生のセックスシーンも多かった。コカインも。暴力も。現実感が薄れてしまったのに、没入できたのはなんなのだろうか。

夜のシーンも多いし、使われていない教室のシーンも多く、全体的に暗かった。青春って暗いなと改めて感じた。
夜のきれいな工場はよかった。

タバコも吸うし、授業をサボりがちだけど、若草ハルナ(二階堂ふみ)の反応がまともに感じた。その彼女の正義感がいろいろ巻き込まれていく。
誰にも言えない河辺のミイラ化した死体の共有。物語の中心は、河辺の死体にあった。

最初から途中も最後も出演者たち高校生をインタビューしているシーンが挟まれる。
これは事件があって、マスコミからのインタビューなのかと思っていたが、そうじゃなかった。虚構のストーリーに現実を感じさせるためのインタビューなのか。フィクションのレイヤーが曖昧になった。
順慶

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