【キム・ミニ不倫映画PART 1】
カイエ・デュ・シネマが心酔する監督ホン・サンス。彼は不倫やセクハラに五月蝿く潔癖症な人だらけのご時世に白昼堂々不倫をし、それを映画化するクレイジー監督だ。何故か抜群のステルス機能で、キム・ギドクが叩かれている横で悠々と映画を作り続けている。
そんなホン・サンスが不倫相手のキム・ミニ主演に撮った不倫映画2作が、この夏日本上陸する。
そのうちの1本『夜の浜辺でひとり』を観てみた。これはキム・ミニの迫真の演技が評価され、ベルリンで女優賞を獲った。
それも納得、狂ったように面白く迫真の演技であった。不倫スキャンダルにより、逃げるようにハンブルクに去った女優はかつての恋人が自分を追ってこないかと待ち望んでいる。一応《留学》という体裁をとっているのだが、ホストファミリーとの会話は続かず、一緒に行動するおばちゃんに愚痴をこぼす。
そして、思わぬ形で第1章が終わる。突然、場面はカンヌン。ほとぼりが冷め、カンヌンへ戻ってきた彼女は女優復帰を目指している。旧友とも会い、飲み食いする。そこで、恋愛観についてディスカッションする。この時のキム・ミニの名にし出すか分からない表情と行動はクレイジーとしか言いようがない。
恋愛こじらせ女子の面倒臭さを全力全開で演じきる。それもホン・サンスと現在進行形で。いやー面白かった。