夜の浜辺でひとりの作品情報・感想・評価・動画配信

「夜の浜辺でひとり」に投稿された感想・評価


ホン・サンスの作風が変わったのは、女優キム・ミニとの不倫スキャンダルを経た本作からである。それまでは自分のスタイルに頑なまでに拘る偏屈な作家主義を貫き通していたホン・サンスだが、そのスキャンダルをネタにした本作で(商業主義に陥らない程度に)誰にも伝わらない映画を撮り続けた監督からは少なくとも脱却したようである。

不倫報道のマスゴミ攻撃から逃れるため訪れたドイツ・ハノーバー。そこで撮りためた【断片1】と、韓国一時帰国時の江陵で雲隠れ生活を送る女優(キム・ミニ)の姿が描かれた【断片2】で構成される。劇中「死にたい」「愛される資格がない」「後悔している」などの謝罪会見的台詞がわざとらしく配置されているが、おそらくマスゴミ向けの演技であろう。

キム・ミニを取り巻く登場人物も大幅に増員、一向に姿を現さない不倫相手の映画監督に激昂する女優のシーンが度々見られるものの、「お前は才能がある」「かわいい」「頭がいい」「先輩のファンです」などと女優を大いに持ち上げ機嫌をとる取り巻きたち。映画の中で、のろけてるんだか謝っているのかよくわからないのである。

注目すべきはそんな内輪ネタではない。今まで自分の分身が主人公の映画ばかりだったのに、本作ではそのホン・サンスの分身が女優の◯の中にちょこっと登場するだけ、すっかり姿を消してしまっているのだ。実際ラブラブ真最中の不倫相手はカメラを回している横に、女優のすぐそばにいるのにいるのにも関わらず。“(不倫報道で恥ずかしくて表に出れない)監督の不在”を演出意図としてハッキリと感じとれる。

しかし女優への想いが、撮影される側と撮影する側(女優と映画監督)の一線を突き抜けてしまうのだ。それが、ハノーバーで時間を聞きにきたり浜辺で女優を連れ去った黒づくめのオジサンや、江陵の豪華ホテルの窓拭きオジサンとなって、ひょっこり姿を表してしまっているのである。ヌリ・ビルゲ・ジェイランを思わせるマジック・リアリズモ的演出が実に効いている作品なのである。

女優との一線を越えた監督は、(ベルトリッチのように)性に溺れた怪物となって芸術的な力を失ってしまうことを非常に怖れているようだが、今のところその心配はなさそうだ。神はなぜか、自分で課したルールでがんじがらめになった永平寺の雲水?のような人間には決して与えない芸術的センスを、ホン・サンスのような生活破綻者にだけ与えるのである。
y

yの感想・評価

-
勝手に重ねてるだけかもしれないけどあまりにも理解できてしまうからヨンヒのように生きたいと思う
JaJa

JaJaの感想・評価

3.3
寒空の下主人公が浜辺に横たわる姿をみて私もしてみたいと思ったがすることはきっとない。一生ない。
summeri

summeriの感想・評価

4.2
監督からキムミニへの愛の告白の映画。この作品は監督の他の作品の中でもとりわけ一人の人間の気持ちが追求されていって内面への迫り方が素晴らしかった。にしても飲み会のシーンとか見てて辛い。でもどうなんだろうと見てると何だかその場にいる人たち好きになる。
つこ

つこの感想・評価

2.0
キムミニさん、割と好きな女優さんですが、最近観るのは不思議な感じの映画が多いなぁと思いました。
これもドキュメンタリーだった?と勘違いしそうになりました。
何か会があると、必ず抜けてちょっとした会話をする場面と、お手洗いから出てくるシーンは印象に残る。繰り返しの感じ。
でもこの人とお酒飲みに行くのはやだな。

このレビューはネタバレを含みます

「おなかすいた?」
やたらと出てくるこの台詞。
常に満たされていない状態。
ヨンヒはずっと何かを欲している。

窓を拭く男。いくら拭いても綺麗にならない。
汚れは落ちない。
(↑コレはとある方の注釈)
結局、ヨンヒの望む物が手に入らないと
曇りは晴れない。

と考えると、最後の海辺に横たわっていたラストカットが現実で、最初っからヨンヒの妄想だったのかな?とか思ったり。


2021-142
sakutaro

sakutaroの感想・評価

4.2
Amazonプライム・ビデオにて鑑賞。
今作もまた酒を飲み、話しているだけといえばそれはそうなのだが、他の作品よりも絵の決まりようやセリフの鋭利さにどこか鬼気迫るものを感じ、完全に呑まれた。

制作背景を考えると複雑だが、監督の思いは所詮ただの夢の中の言葉でしかないと思うと、やはり憎めない。

何とも言えない余韻が残る。波音がまだ耳に響く。あのオチに僕は少し救われた気がしている。
すごい個人的な意見だけど、ホンサンスの映画は低気圧が続いて不調な時に見ると面白く感じる気がする

ところで1章の終わりに浜辺で誘拐?されてたの何w

あと、新居に居た圧倒的存在感を放つ窓拭きおじさんが圧倒的に存在消されすぎててわろた
kazuho

kazuhoの感想・評価

3.8
これまで3作品くらいみてもホン・サンスが韓国のロメールって言われてるのピンと来なかったけどこれは何となくわかった。『緑の光線』だと思った。キム・ミニが持つ儚げなオーラに惹かれる

"「考えて生きるんじゃない 生きたくて考えるんだ」「毎日考えて生きてるくせに」"
シャン

シャンの感想・評価

4.5
脳が刺激されて良かったし、時間をどれだけ正しく映してくれるのかっていう点で映画を選り好みしていきたいからすごく良い時間を観れたなって満足感がすごい、その時間と時間の間に正しさや考えがあるから言葉や会話も邪魔をしてこないし、その丹念さが熟練のものなのかもしれないけどありがたいなって思った。また観たくなると思う
>|

あなたにおすすめの記事