マグルの血

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2のマグルの血のレビュー・感想・評価

4.4
長きに渡るヴォルデモートとの死闘、遂に決着。

さすがに面白かった。全シリーズダントツ間違いなし。一瞬でも疑った闇の心を払拭してくれた最高のファンタジー映画。

宿敵ヴォルデモートを倒すため分霊箱を探し続けるハリー一行。道中様々な分かれ、衝撃の事実を知りつつ懸命に戦うハリー。そして舞台は始まりの地、ホグワーツへ。デスイーターVSハリー一行、運命やいかに。

大人気ファンタジーシリーズの最終章に相応しい、非常に体重の乗った重厚感溢れる作品です。役者全員尋常じゃないくらい気合いの入った演技をしています。そして息を飲む怒涛の展開。衝撃の真実。全ては「愛」である。号泣必須のクライマックス。ファンタジーアレルギーを克服できなかったけど、本作は本当に素晴らしかったです。
終盤の畳み掛けは名作コミック「うしおととら」のようでした。死んでいった仲間達や両親との絆、ハリーが長い戦いを通じて獲得した正義感の答え合わせ。
魔法の世界という独特な世界観故の現実では通用しない価値観だからこそ、特殊な没入感がありエピローグまで楽しめたのだと思います。

現実とかけはなれた設定での人間同士の争いは、善悪の定義が如何に個人の倫理観や思想に基づくかを再認識するのに非常に役だった気がします。
「人を傷つけてはいけない」という発想自体は元々大きな流れというか、多数決で決まった常識の一環であるわけで、本作でいうヴォルデモートの純血主義も、同じ思想を共通する人間からしたら筋の通った主張であるわけですよね。だから「間違ってる」という言葉が絶妙にはまらない気がします。特にヴォルデモートに関しては。
純粋悪というより、究極に突き詰めた自己愛なわけですからね。魅力的なヴィランにより善悪の価値観について再考することは、映画「ジョーカー」のジョーカーを知ったときに似た感覚がある気がします。正義という言葉が如何に危険なものか。
その価値観に共感するのではなく、「そういう正義もある」ということを知ることは自分自身の信じたい方向性を確固たるものにするために必要な作業だと思います。当たり前を当たり前にしないこと。良い学びになりました。

10代の最も多感な時期を、仲間達とのかけがえのない青春と命を賭けた死闘を平行して経験するとんでもない濃度の人生を生きたハリー·ポッターの物語。最後の最後でとてつもない説得力の感動を私にくれました。
とても疲れたのでファンタビは当分観ません(笑)いつか挑戦します。
ロード·オブ·ザ·リングとかナルニア国物語性とかも挑戦しなきゃか…でもその前に久しぶりにネバー·エンディング·ストーリーが観たい。

生粋のマグル生まれマグル育ちのバキバキのマグルとして、本シリーズを完走できて良かったです。

追記
アズカバンの囚人以降ジャケットが似すぎてて区別がつかない…。

2024年 87本目
マグルの血

マグルの血