パスカル・ロジェ『マーターズ』、アレクサンドル・アジャ『ハイテンション』らと並び、三大フレンチホラーの1つに数えられる『屋敷女』。
いや、凄い。大傑作。ただならぬ予感はしていたものの、もうちょっとチープな作りを想像していたら予想の斜め上をいくクオリティに度肝抜かれる。
序盤なんかは普通にフランスのアート映画か?と見紛うほどの端正な画作りだったり、秀逸な音響効果、83分で一切無駄のない話運び、女優陣2人のこのうえない魅力等、超立派なA級作品といえる。
“屋敷女”を演じたのは、あの名作『ベティ・ブルー』でヒロインを、『ナイト・オン・ザ・プラネット』で盲目の女性を演じたベアトリス・ダル。
ダルさんご本人も本作の“屋敷女”にかなり味をしめたのか、今後はホラーテイストの作品以外には出演したくないと明言したそう。実際、ギャスパー・ノエの最新作『ルクス・エテルナ』の現在に至るまで彼女は一貫してそういった作品に出演し続けている。
2人の共同監督ではあるが、特にアレクサンドル・バスティロさんの意思、作家性が全面に出ており、とにかく作り手のアルジェントやらカーペンターやらJホラーなんかをはじめとするホラー映画愛がこれでもかと伝わってくる。また、“三池崇史監督の『オーディション』を超えるインパクトの作品を!”という意気込みで、本作が最初で最後の作品になる覚悟で製作したそう。