オロゴン

顔のない眼のオロゴンのレビュー・感想・評価

顔のない眼(1959年製作の映画)
5.0
始まりも終わりも素晴らしい。

始まりの顔は誰やねんと思っていたがそういうことなのかとなるし最後の展開も感動的

顔が1枚足りない状態で交換可能だと誰が誰であるかは重要ではなくなり、個というより類で存在しているという意味で動物と結託するのかもしれない

顔を失うことが単純な美醜の問題を超えて、社会的な消滅、個として存在できない孤立に繋がっているように思いました。そう考えると、娘を社会的に復活させようとする親の狂気に対して、むしろ非人間的な存在としての動物と結託し、顔のない存在として外に飛び出すラストは感動的ですらありました。顔のない眼とは、社会的には匿名だが世界を感覚し生きる力を持った存在なのかもしれません。

また、顔の映画だからこそ後ろ姿が印象的だったし、列車を通すタイミングや階段で縦に広がる空間など動きや空間の楽しみにも満ちていた
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