顔のない眼の作品情報・感想・評価

「顔のない眼」に投稿された感想・評価

Moeka

Moekaの感想・評価

4.0
白黒なのに血のドス黒さや生暖かさが伝わってくるおどろおどろしさ、この表現は当時ヘイズコードがかかっていたハリウッドでは決して描くことができなかっただろう。閉じ込められている娘はまさに檻の中の犬、籠の中の鳥と同じ。人間の顔の中で最もその人を印象づけるといっても過言ではない眼だけが残っているという点が興味深い。無垢で清純、平和の象徴である鳩と共に進んでゆく彼女は不気味ながらも天使そのものの美しさだった。とても好みの作品
表現としてはまず顔を隠したコートだけを映して、次のシーンで引き摺られる生足を見せて女性の死体を表す描写が実に上手いと思った。

そこからはサスペンスらしく台詞で進行していく展開や情報描写も目立って正直好みではなかったものの、アリダ・ヴァリのミステリアスな演技とピエール・ブラッスールの静かな狂気を秘めたキャラに求心力があったおかげで飽きることは無かった。

助清の元ネタと思しき仮面をつけたエディット・スコブも儚げで良かったし、焼け爛れた素顔の酷さもホラーチックだったけれども、どうせなら犠牲者の女性の役も彼女にやらせていたら失われた顔が際立って悲劇性が増していたように思う。

そして当時は既にヌーヴェルヴァーグが台頭してきていたけど、それを思うとこのフリッツ・ラングを思わせる作品は作りとして良くも悪くもあまりに古風だったんじゃなかろうか。
佐藤

佐藤の感想・評価

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映画的にはそんな何だろうけどさ。

手術シーンを変に省略しないところに何か意図を感じた。
【恐ろしくも芸術性の高い作品】
事故で顔の皮膚を失った娘のために、医師である父親が若くて美しい女性を誘拐し彼女たちの顔の皮膚を剥ぎ取り娘に移植するというのが大まかなストーリー。
「オペラ座の怪人」のようなヌメッとした白塗りの仮面を装着している娘のクリスチアヌが怖いけれど本当に綺麗!タイトルの「顔のない眼」そのままに、仮面から存在感を隠しきれない瞳が、不慮の事故で未来を奪われた少女の苦悩を表現している。
白黒映画時代でここまで生々しい手術シーンがあっただろうか。ターゲットとされた女性たちの顔にメスと入れるシーンはかなり残酷!しかもしっかりと見せてくる(笑)。白黒なのに、生温かい血の赤が鮮明に映る。
最後のクリスチアヌと白鳩のシーンは、ここ最近見た映画の中で最高に美しかった。
Naoya

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2.4
交通事故で顔の皮膚が滅茶苦茶になってしまった娘の顔に、医者である父が、誘拐して殺した若い女性の顔の皮膚を移植する、怪奇スリラー作。スリラーながら大味にはならず、作り込みのあるシーンがある内容。特に手術シーンは短いが生々しさがある。医者であるがゆえの、移植に対する目線、移植後の経過を辿る場面は映画としてはリアリティがある。物語として起承転結あり、結末の余韻は印象的。モノクロだからこそ過激さはなく、美しく感じるシーンが多く、移植前の、マスクを被った娘の顔がとても映える。邦題も本作をよく表しています。(DVD)
凛太朗

凛太朗の感想・評価

3.8
1959年のフレンチ・ホラーであり、外科手術をホラーで描くという、今やありふれまくった題材の草分け的存在であり、聳え立つ金字塔。
現在は兎も角、当時のハリウッドではヘイズコードによってこれは確実に作れません。
ということで、今の感覚で観てどうのこうのという話ではないですね。当時としてはグロテスクで斬新だった。(今観て目を背ける人も居るんでしょうけど)
ホラー要素もさることながら、この映画、ファンタジーとしての美しさも持ち合わせて居ます。
ラストの白い仮面に白い服、そして白い鳩。
清廉潔白とか純粋、平和というポジティブなイメージとは裏腹に、無や空虚といったネガティブなイメージも連想させます。

マッドサイエンティスト、もとい、ラウドネスよろしくクレイジードクターな外科医の主人公は、自分の運転による交通事故によって、娘の顔に傷を負わせてしまったという罪悪感、或いは愛故に、娘と同じような姿をした若い女性の皮を剥ぎ取って、皮膚の移植手術を実行していたつもりのはずが、実は娘のためではなく、得ることのできない功績や名声、単純な科学や医学への興味によって犯行を行なっていたことがわかる。
助手を演じるのはアリダ・ヴァリだけれど、彼女もまた博士の手によって施工済。
博士に対する愛か恩義が忠誠か、絶対服従の関係であり、彼女もまた若い女性を物色し、助手の務めを果たす。
要するに二人ともサイコパスですね。純粋と言えば純粋。

娘のかぶる仮面が、それこそ犬神家の佐清。(あの佐清は佐清じゃないけど)
マスクの下はどうなっているのか?と想像力を掻き立てられるわけだが、(映るけど)『顔のない眼』の顔のない部分を想像してしまう自分がいることが、何よりホラー。
2018年2月15日(木)に鑑賞。撮影の技法や設定など当時としては斬新で現在につながっていることも少なからずあるのだろうけど、私は観ていて退屈だった。
Akiramovie

Akiramovieの感想・評価

4.0
子供の頃、東京12チャンネルで観て、本当に怖かった。
何故かオープニングタイトルの曲まで覚えている。
horahuki

horahukiの感想・評価

4.3
パッとタイトルだけ見ると『眼のない顔』って勘違いしちゃいますが、『顔のない眼』です(笑)私も逆やと思ってました(^_^;)

DVDの解説によると、初めて病院や手術をホラーのジャンルに加えた作品らしいです。でも病院題材はもっと前にもあるように思うので、手術+ホラーの金字塔的な作品ということだろうと思います。

あらすじ…
高名な医師の主人公は、交通事故のせいで顔面が壊れた娘のために、秘書と協力して同じ年ごろの女性を誘拐して顔面の皮膚移植を試みていた。でも、なかなかうまくいかず、新たな女性に目をつけるが…という話。

表向きは立派な医師として振舞う主人公が、何の躊躇もなく罪もない女性の顔面を剥ぐ姿が怖い。そして剥ぐシーンも凄くリアル。ペンで印をつけるところから始まり、皮膚を剥ぎ取るまでをしっかり見せます。『サイコ』の風呂場シーンでもそうですが、当時の映画って残虐な場面を直接は映さないイメージだったので、その詳細な描写とリアリティに驚きました。さすがフレンチホラー。しかも、残酷描写にモノクロ映像の美しさが加わることで、どこか上品さすら感じさせるのが独特。

主人公を狂気に走らせるのは間違いなく娘への愛情なんですけど、その偏愛っぷりが度を過ぎているにも関わらず、日常生活や自分が手をかけた被害者への事後処置等も含めて全てが理性的。女性を攫う秘書も含めて、異常者をわかりやすい異常者として描かない。なので異常性を見せつけられてるのに、観客側からすると異常なように映らない。本当に娘の治療のために必要な行為を坦々としてるだけのような印象を与え続けるのがうまい。

そして主人公には、医師として研究者としての功名心が根底にあるようにも思えてくる。その観点で見ると娘は被験者であり、親子であるのに、実験対象でもあるというのがこの映画が纏っている悲しさを助長している。

新しい顔を得ることの喜びが勝っているように思える前半から、罪の意識が強くなる後半。ここら辺も、セリフではなく娘の仕草や行動でその心情を表現しているのも丁寧。そして、「表情のない仮面」を被って屋敷の中を歩く場面が、まるでこの世のものではないような美しさと不気味さを合わせ持つシーンになってるも良いですね。顔を失った者の悲しみは想像もできませんが、幻想的かつ美しさや気高さ、強さそして観客に感動をも与えるラストはすばらしい。傑作でした♫
otom

otomの感想・評価

3.9
皮を剥ぐって行為はそれはそれは恐ろしい。当時としてはかなりグロかったに違いない。割と淡々とした映画なので、ちょいと眠気と戦う羽目になったが、最後のワンちゃんのシーンは覚醒。娘を始めとして、登場人物の哀しさに満たされた作品だった。良作。
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