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心と体とのkitoのレビュー・感想・評価

心と体と(2017年製作の映画)
4.0
不思議なラブストーリーで刺さった。昨年末に急性のハンガリー映画熱が出て短期間に4本観た後、少しあいての5本目。ハンガリー映画と相性が良いのはなぜだろう、、、

食肉加工処理工場が舞台。コミュニケーションが苦手で強迫性障害などを持つ品質検査官の若く美しい女性と、左腕に障害のあるそこそこ齢を重ねた財務部長の二人が主人公。

歳の差カップル、美女と野獣の恋愛ものなら少しも珍しくはないのだけど、このふたり、毎夜のように鹿になって美しい森の中で一緒に行動している夢を見ているのだという。まさか演技派がいるとも思えないので鹿はCGなのだろうけれど、まったく違和感がなくファンタジー世界に見入ってしまう。CGに限らず全編を通して映像はとても美しい。

男は障害のせい、あるいは年齢的にもすっかり人生に疲れた風。一方の女性も心の障害でなかなか世間に馴染めないでいる。前半は男性目線、後半は女性目線で描いており、男性は繊細でこそないがまあ普通といえる範疇なのに対し、女性は障害ゆえの不器用さが逆に初々しく、ちょっとした行動が愛おしくなり、観ていて心を揺さぶられる。演じる女優がまあ美しいこと。

終盤まさかの展開に、ええー!となるものの、観終わった後はじわーと心が温まる。ハンガリー語直訳のタイトルの意味はなるほどと納得。
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