とぅー

デトロイトのとぅーのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.2
2018.2.1

あれは尋問ではない。拷問である。
デトロイトの警官が黒人に対して、暴行や殺人をしていた事実をより詳細に描き、アメリカに残る人種差別を象徴する映画だった。1967年の出来事とはいえ他人事とは思えないし、少なからず今でも人種による差別の風潮が残っている。アカデミー賞にノミネートされないのは疑問でしかない。

あの黒人たちと一緒にあの場にいたような気になるほど、リアルで緊張感のあるカットが続く。いつ自分の番が来て殺されてもおかしくない状況にいて、その間ずっと恐怖と闘っている。罵声を浴びさせられ、暴力をふるわれ、答えのない質問に答えなければ殺すと言われ、殺されたくなければ祈れと言われ、祈ったところで助けてくれるわけがない。見ているだけで苦しくなった。演技だとわかっていても、警官役のあいつの顔が大嫌いになる。
自分も嘘をつかずに正直に生きたいし、間違っていることから逃げたくないから解放されるときに殺されたかもしれない。オーブリーの気持ちはとてもわかる。それなのに殺されてしまう。世も末だと思った。やっぱり正しいことをしている人間が馬鹿を見る世界は変えたい。罪を着せられそうになる黒人警備員。役者と同じように本当に震えた。裁判で負けたのは信じられないし、未だに覆っていないと知って、やりきれない気持ちになった。
とぅー

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