一体どれほど心を押し殺して生きていかなければならないのか…。
白人警官の「これはゲームだ」というふざけた言葉に、はらわたが煮えくり返るほどの怒りがこみ上げました。何度白人警官を背後からぶん殴れと念をおくったことか…。この差別主義者警官には何を言っても伝わることはないという反省のなさ。演じた俳優ごと嫌いになってしまいそうな不快感をもたらす演技や見せ方はある意味凄いなと思わされました。警備員を演じたジョンボイエガはスターウォーズシリーズのイメージが強いが、酷い扱いを目の当たりにし、自分が受けてなお黒人と白人の双方を理解しようと感情を抑える演技が素晴らしく、良い俳優だなとさらに好きになりました。
1960年代のデトロイト暴動の最中に発生したアルジェ・モーテル事件を題材にした作品。発砲を狙撃手からの攻撃と判断した白人警官達がモーテルに乗りこみ、そこに居合わせた者達に暴力的な尋問そして殺人を行う…。当時のアメリカの社会情勢や人種差別問題、そして実際にあった事件を扱った作品ということで少し身構えて観ましたが、予想以上にスッと物語が入ってきて登場人物の感情に寄り添うことができる作品であったように感じました。作品から感じるのは怒り、恐怖、やるせなさ、悲しみと負の感情が圧倒的ですが、それでも観てよかったと思えました。個人的には「アメリカン・スナイパー」を観たときのような、この作品が作られたという事に意味があると感じた作品でした。
