こちらは踊らない、歌わない。
静かに胸を打つジュブナイル系インド映画。
父を亡くし母1人子1人。
都会から田舎に急遽やってきた少年チンメイは、田舎の暮らしに馴染めずに戸惑いながらも、学校で仲間ができたことによって次第に田舎の生活を楽しむようになるが・・・
ワクワクするようなこの田舎の風景が多く映し出される本作。
ちょっとジャングルみたいな不思議な景色が印象的。
チンメイが取り残される砦島の神秘的な空気も含めて他のインド映画とはちょっとまだ違うノスタルジックな情景が楽しめます。
私、『スタンリーのお弁当』とか『地上の星たち』とか、インド映画の子供達の姿がとても自然で大好きなんですが、こちらも妙にできすぎてない子供達の無邪気さや残酷さが適度に描かれていてとても良い。
犬を追いかけ回すとか、弱いものいじめするとか、マウンティングとか、友達を知らない場所に置き去りにしちゃうとか、もう数えきれないくらい小さな残酷なシーンが散りばめられていて、でも綺麗なことばかりでない、そういうシチュエーションを通過して彼らは大人になっていく。
チンメイにとってのこの砦島の思い出は、草木や豪雨ら魚の香りとともにきっと一生心に焼き付くに違いない。
非常に地味な作品ですが穏やかにインドの自然を体感したい人に是非おすすめしたい作品です。
