あずき

シェイプ・オブ・ウォーターのあずきのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

映画というより何か文学作品を読んでいるような気分になった。

前情報として“半魚人”“声が出せない”くらいの知識しかなかったので、人魚姫!?アリエルみたいな話なのかな!?なんて浮かれて見始めたけど、全っ然違った。
リトルマーメイド同様ファンタジー作品のはずなのに、どこか現実的で生々しい作品だった。
ただ、その生々しさの中に純粋で美しい世界が広がっていた。

ラスト、イライザがストリックランドに攻撃され、それに対して半魚人が報復するシーン。攻撃する時に喉を切り裂いたのが印象に残った。散々に見下していたイライザと同様に声を出せなくなって最期を迎えるなんて、なんて皮肉。
イライザも同じく首元を怪我しており、その末路を比較してみると、二人がより対照的であるように感じられた。

人種やセクシャリティ、身体的特徴などの要素でマイノリティとされる人々が主役である本作。イライザにとっては半魚人も何かかが欠けた一人であって、かつ孤独を分かち合える存在であったんだと思う。

考察を深めようと思えばいくらでも深められる作品なんだろうと感じた。
ラブロマンス作品が得意でない私でも、素敵だな、と素直に思えた作品だった!
あずき

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