あずき

ファニーゲームのあずきのネタバレレビュー・内容・結末

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

おぞましいという言葉はこういう作品を見たときに使うべきなのだろう。
覚悟して見たけれど、ちゃんと最悪だった。(褒めてる)
私のようにバッドエンド作品が好きな人間には良いけれど、他の人にはなかなかおすすめできない作品。

最後の方で何度か出てくる“虚構と現実”についての台詞が印象的。この概念こそが本作の一つの核になっている気もする。
途中までリアリズム的な描写が徹底されていたのに、突然「巻き戻し」の大メタ演出が登場する。観客は映画をフィクションの世界として見ているはずが、そこに現実の感情や感覚を持ちこんでいたことに気がつく。そこからはメタ発言のオンパレードで、どんどん虚構と現実の境界が曖昧になっていく。
これらの演出については、あらゆる解釈ができるのだろうが、私は作り手から観ている側への警告であり問いかけのようにも感じた。

映画という虚構世界の中で繰り広げられる惨劇が、現実世界の観客を痛めつける。そういった構図をまざまざと見せつけられるのが悔しい。フィクションだと割り切ろうと思っても、観ていて辛くやり切れない気持ちになってしまう。
監督曰く観客を「憤慨させる」ために作ったらしいので、まんまとその手中に収められてしまった。
シンプルに観ていて辛いのでもう観ることはないだろうが、作品としては観て良かったと思う。
あずき

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