ひば

シェイプ・オブ・ウォーターのひばのレビュー・感想・評価

4.0
水の形がわからないように、心も形を留めず変わり続ける。狭く汚れた研究室に流れるものは血から音楽へ。室内に室外に止めどなく流れる水。そしてついには水という愛が水のない映画館に流れ込んでいく。無機質な空間に『生』が、あたたかな気持ちが彩られ熱を孕み溶け込んでいく。冷戦下の暗闇で紡がれたもどかしい物語の末、差し込む光に永遠の愛を感じた

人と怪物の組み合わせって、人間汚い!みたいな終着点が多いけどこの作品はそんなもん超えてましたね。すごい。おまけにこの奇怪な関係性に『ピュア』と『グロテスク』を同居させるなんてデルトロ監督にしかできないんじゃないのかな。異種間の友情コースに見えなくないのに、イライザは話せ"ない"ことが周囲にとって欠陥人間に思われてるけど"彼"には関係ない。ありのままの自分を見て心を伝えてくれる。だから私たちは出会うべくして出会った運命という、同種のラブストーリーだ。

メモ
あなたの姿が見えなくてもあなたの気配を感じる。あなたの愛が見える。愛に包まれ私の心は優しく漂う
ひば

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