845cinema

シェイプ・オブ・ウォーターの845cinemaのレビュー・感想・評価

5.0
アンチ『美女と野獣』による、旧来の概念を反転させて語り直すおとぎ話。全体にクラシックなムードが漂う。自宅の1階は映画館であり、隣人とはテレビでミュージカルを観る。メインのふたりがしゃべらないというのもどこか古典的に思える、あたたかい映画愛の映画でもあった。

性の匂いが序盤から立ち込めていて、タイマー使って自慰をしたり、彼と親しくなるきっかけは「卵」。しかしながら、ついに結ばれる場面になってもグロテスクに感じないのは、性が日常としてあることや彼の絶妙な造形に加え、ホーキンス演じる主人公だけでなく、デルトロ自身の異形への視点があってこそなのかも。マイケル・シャノンもただの悪役として描かれず、怪物化していく姿も同じ。文字通りの愛が溢れる場面は本当に美しかった。
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