RIO

シェイプ・オブ・ウォーターのRIOのレビュー・感想・評価

3.9
ロシアと冷戦下のアメリカ、ボルチモア。機密研究機関で清掃婦として働く発声障害を持つ女性・イライザは、同僚の黒人女性・ゼルダや隣人でゲイの画家・ジャイルズとの親交はありながらも、恋に飢えた孤独な生活を送っていた。ある日、高圧的な上司・ストリックランドが、数日前に運び込まれたばかりの生物に指を噛みちぎられる事件が起こる。片付けを言い渡されたイライザがそこで目にした例の生物とは、異形の半魚人であった。興味を持ったイライザは、食事を分け与えたり手話でコミニュケーションを取り、次第に交流を深めていく。

2018年度アカデミー作品賞を始め四冠に輝いた大人のファンタジーラブロマンス。放映があったのでやっと観られました。
装置や小物まで徹底的に深緑のトーンを厳守した美しすぎる画面作り、洒落たオリジナルBGMもセンス抜群なのでアカデミー美術賞受賞も当然のクオリティ。象徴的に差し色にされた赤も映えてて綺麗でした。
水の描写への拘りに伴い湿気を含んだ鬱蒼とした空気が終始漂いますが、半魚人のビジュアルや周りの順応性の高い人々も相まり不思議な世界観で、かなりファンタジーでした。CG丸出しではない、昭和の特撮作品の怪人のような半魚人もノスタルジックで雰囲気抜群。
しかし、主人公イライザは発声障害を抱え、二人の友人もわかりやすく当時マイノリティと分類されていた設定付けで、尚且つそれをメキシコ出身のデル・トロ監督が描くという、社会派なトーンも落とし込まれています。
暴力的でグロテスクなシーンや性的描写が随所に盛り込まれており、R15指定にもなっています。憎き上司と妻の情事シーンも公開時に入ったというモザイクが凄く間抜けで興ざめしたり、動物に対してあまりにも残忍なシーンには閉口しましたが…。

ラストも含め、かなり解釈の余地がありそうな作品でした。湿って艶めかしいけれど何処か初々しいときめきに満ちた、質の高い大人向けのおとぎ話という印象です。
RIO

RIO