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ライオン・キングのfilmgramのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
3.7
【劇場鑑賞/26本目(2019.08.09)】
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【作品情報】
邦題:「#ライオンキング」(2019.08.09)
原題:「#TheLionKing」(2019.07.19)
製作:アメリカ/上映時間:110分
配給:Walt Disney Pictures
支持:評論家53%、オーディエンス88%
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【キャスト・スタッフ】
■監督#ジョンファブロー
⇨MCUハッピー役、アイアンマン、シェフ三ツ星
■主演
●シンバ/#ドナルドグローバー
⇨グラミー賞、スパイダーマンHC、ハンソロ
●ナラ/#ビヨンセ ノウルズ=カーター
⇨ご存知、世界の歌姫ビヨンセ
●スカー/#キウェテルイジョフォー
⇨ドクターストレンジ、オデッセイ、それでも夜は明ける
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【あらすじ】
サバンナの王国プライドランド。その王であるムファサに、
息子のシンバが誕生する。だが、シンバはある"悲劇"により
父ムファサを失い、王国を追放されてしまう。新たな世界で
仲間と出会い、“自分が生まれてきた意味、使命とは何か”を
知っていく。王となる自らの運命に立ち向かうために―
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【鑑賞前に知っておきたい予備知識】
●制作のきっかけ
2016年に制作された"ジャングル・ブック"です。
主人公の少年一人を残して、それ以外の全てをCGで
再現した際に監督は、この技術を使えば"ライオンキング"を
CGとして蘇らせるのではと思いついたのだそう。
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●実は1シーンのみ実写
全てCGで作られている本作ですが、冒頭の1ショットである
"サークル・オブ・ライフ"のみ実写映像を使用。
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●アラジン超えの大ヒット
米国では公開からわずか12日間で、先日の"アラジン"の
全世界興行収入を超えるほどの大ヒットを記録。
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●キャラクターの名前の由来はスワヒリ語
シンバ=ライオン
ナラ=贈り物
プンバァ=臭い
サラビ=蜃気楼
ラフィキ=友
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●スカーの本名はタカ
タカ=汚れ、欲望の意味だそう。ちなみに、ムファサとは
現実的でないからの理由で、実の兄弟ではありません。
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【感想/ネタバレ含む】
言わずもがな、映像技術が一級品。プライドロックから
ジャングル、動物達の毛並みまでCGってすごいですよね。
内容は、本場では完コピと言われるほどアニメ版に忠実。
先日のM2の逆襲で慣れていたのでその点は大丈夫でしたが、
M2とはまた違って実写化の難しさを絶妙に工夫してました。
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一方で、"アラジン"のように女性のジェンダー観を強めた
工夫など今日のトレンドに対するメッセージはありません。
実写化をする必要性をもう少し出して欲しかったところ。
アニメ版に対して何かしらの思入れがないと、
多少なりとも物足りなさを感じてしまうかもしれません。
P.S.ムファサと聞くと飲み会のゲームが浮かびます笑
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●スカーの役割の変化
①最初の歌唱シーン、"Be Prepared"
アニメ版ではハイエナより優位の存在であることを
仄めかす歌い方が、実写では虐げられた同志のように。
歌詞も微妙に一部変えられていましたね。
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②際立たせた敗北者としての役割
✔︎サラビがスカーではなくムファサを選んだ理由。
✔︎ムファサに挑んで敗北した過去。
→上記2点を追加したことで、愛を渇望したアニメ版よりも
弱肉強食の世界を際立たせていました。初めの歌唱シーンも
"同じ敗北者同志、奮起を翻そう"と呼びかけた歌い方であり
スカーにアニメ版と異なった印象を植え付けたと思われます。
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③サークル・オブ・ライフ
そしてこれらはテーマの一つである"円循環"に繋がります。
弱肉強食の世界もまた頂点は日々変動するものです。
スカーに敗北者の印象を際立てることで、よりテーマの
サークルオブライフが入りやすくなったと思われます。
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●アニメ版と異なる精緻な工夫
✔︎ミュージカルシーン
アニメでは全ての動物達が歌ったり踊ったりするコミカルな
クオリティなのに対し、実写版ではシンバとナラだけです。
実写版で全ての動物達が踊り出したりすると世界観が
一気に崩壊してしまうため、いい改変だと思いました。
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✔︎動物達の表情
当然ながら、実写の方がアニメ版よりはるかに表情を
描きにくい。ミュージカルと同様に世界観を一気に
崩壊させてしまうから。しかし心情を精緻に表現するなど
リアルとCGを抜群のバランスで実現されています。
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●近年のディズニー作品の傾向
最近は過去に自分たちが製作したアニメ映画の実写版が
多いですが、その際に古い価値観をアップデートさせ、
現代の世界に適応する形で改変して送り出すことを強く
意識していると思われます。特にジェンダー観は顕著です。
しかし、本作はほとんどアニメ版との変化がないことから
刷新する必要がないほど先進的な作品だったと捉えれます。
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