ちろる

リュミエール!のちろるのレビュー・感想・評価

リュミエール!(2016年製作の映画)
4.2
映画の始まりはどこ?
1893年にアメリカのエジソンが発明したキネトスコープからなのか、それともフランス人のリュミエールが作ったシネマトグラフなのか、、それは諸説あるから定義は曖昧ではあるけれど、現在私たちが楽しんでいる「映画」というものの基盤を確立したのはリュミエールが作ったこの作品たちなのだろう。
一回のシーンで許されるのはわずか50秒!
この限られた時間の中で演出をされた人々がおどけて笑わせたり、大きな汽車が画面に向かって走りだしスクリーンの前にいる観客をビックリさせたのだ。
演じる人たちもこのとんでもない魔法のような箱を前に呆然とたちすぐしたり必要以上に大げさな動作をして滑稽になったりするのもこの120年以上前の撮影だからこその新鮮さ。
そしてなによりもこの作品をスクリーンで観ることの魅力は、このシネマトグラフという魔法の箱のお陰で120年前の色んな場面にタイムスリップして、尚且つ世界旅行までできたことだ。
この映画はパリから始まり、リュミエールが上映会を行うために訪れた当時のイギリス、アメリカ、ベトナム、中国、そして日本だって写っている。
元々youtubeで100年前の映像を探して観て昔トリップする私にとってはもう、ワクワクする映像の数々で、これといったストーリーがあるわけでもないけれど、120年前の人たちと同じ映像を同じ映画館で観ているような感覚で楽しめてなんだか不思議だった。

今、映像の技術が進歩しすぎて、ちょっとだけ昔の映像見てCGがしょぼいだとかそういう事を偉そうに語る自分をふと思い出すと少し恥ずかしい。
今当たり前だと思って享受しているものは本当はこんな風にリュミエール兄弟たちのような先人たちが夢をかけて作り上げた技術の賜物がすべての出発点なんだと、原点回帰させられた。
そしてこれを観てなおさら映画という魔力に恐れ入ったシネフィル必見の作品。
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