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テルマのogierのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
3.2
親離れをした小動物
初めてを経験する中、大衆の交差する概念の洪水に溺れかける
冷たい風を鳥達は風を切り無意識の自殺を遂げる
狂っているのは私か私以外か
蛇に身を託しフロイト的精神分裂の間で覚醒を思い出す
最も尊敬する知の巨人と受け売りで胸を張る個人の愚かさの矛盾、クリスチャニズムとダーウィニズムの矛盾、科学主義と超自然現象の矛盾、信じ切っていたシステムと盲目だった矛盾に目を向けて、己自身を確立できる術をもはや失いかけてしまった少女に訪れる”信じる”という行為。
夢で見た記憶、無意識の欲望、今まで信じて来たアイデンティティへの疑いは狂い出した歯車のノイズにかき消されそうになり自己を見つめ直すとき彼女は初めて自立するのか。
私たちは常に何かを信じている
そしてそれらの事情は信じることによってのみ存在しているのかも知れない
崩壊と不条理を描いた美しく静かな物語
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