ヨアキム・トリアーは前作公開の時、ラース・フォン・トリアーの甥ということで気になっていたのだけど、結局まだ未見だった。今作のパンフレット読んだら、親戚だけどラースとは面識はほとんどないらしい。
宣伝名目としてはホラーとなっているけど、個人的にはスリラーの方がしっくりくる。『ブルー・マインド』はぎりぎりホラーだった。面白ければカテゴライズは何でもいいとは思うけど、前情報で映画に対する期待値が変わってくる事は往々にしてあるから影響は大きい。
話の内容としては『RAW』や『ブルー・マインド』に近い思春期スリラー。また少女が主役であることも共通している。そこにサイキックを混ぜ込んだ。監督が『AKIRA』や『童夢』が好きだとインタビューで答えているのはさすが。ちなみに大友克洋はもちろん、今敏ファンでもあるらしい。
俯瞰や大自然を注視するカットで大いなる者の存在を感じさせる手法がうまくてゾクゾクした。神なのか悪魔なのか。それとも神は悪魔なのか。宗教観と本能の狭間で葛藤し、最後は…。
題材も映像も美術も各所の演出も良くて面白かったんだけど、何か全体的な話の構成の妙というか、もっと高揚感が欲しかったかもしれない。劇場シーンのような手に汗握る所がもっとあれば。佳作。
