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ボーはおそれているのswaptvのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

訳分からんのが3時間続くという前評判から途中寝ちゃうんじゃないかと不安になりながら鑑賞したが、意外にも面白く最後まで見られた。あっという間と言ったら言い過ぎだけど、体感2時間くらいだった。

確かにコメディではあるし、笑える部分もあるにはあったんだけど、とにかくボーがかわいそうな気持ちの方がまさってしまい、コメディとしては乗り切れず不条理ホラーとして楽しんだ。

オープニングの出産シーンからラストの大きな胎内のような建造物での転覆死まで綺麗に繋がるのは唸った。見た直後は呆然としてしまったが、『ヘレディタリー』『ミッドサマー』と同じくある意味ではハッピーエンドととれそうなラストで、ボー自身もああなることを望んでいたのではないだろうか。それにしても悲しすぎる。

序盤のボーが居住する街の描写が最高すぎた。まさにボーの頭の中をそのまま映し出したようなカオス具合。あの街での日々の生活をもっと長く見ていたかった。

どれが現実でどれが妄想・幻覚なのか分からないし、おそらく分かるように作ってはいない。という事はそこはそんなに問題ではないという事?個人的には母がコントロールフリークなのは間違いないとしても、迷子の後隠れてたとか、母のパンツを嗅がせて盗ませたとかをビデオにとられていたというのはボーの罪悪感が思わせた妄想なのかと感じた。未来の行動がビデオに撮られてるのもおかしいし。ただそこまでボーを追い詰めたのは間違いなく母のモナ。

それと直前に見た『哀れなるものたち』とどうしても比較してしまう。同じ冒険譚でありながらも自分自身で選択し人生を開拓していくベラと、一方のボーは自分では何も決められず受け身のまま生きていく。全くもって真逆。エレインとの再会での情事のきっかけはボーが唯一能動的に動いたシーンだろうか。それすらも悲しい結末に繋がる。何も変わらずそのまま終わる。すごい作品だ
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