サイキックもの?父娘もの?青春もの?とはっきりせず。前作の「母の残像」では良い方に出ていたあまり説明しないという手法が、この映画では悪い方へ出てしまったようです。
テルマの超能力、実際にテルマには念じれば人を消してしまう能力があるようなんですが、消えた人間がその後どうなったかなど放っておきすぎですし、そうした自分の力を知ったテルマの苦悩が見えなさすぎます。
そして、その能力を知るが故なのか、父親が宗教的な厳格さでもってテルマを暴力的に抑圧するわけですが、その構図をおばあちゃんまで登場させて中世の魔女狩りをイメージさせているのは広げすぎて回収し切れていません。
さらに、その宗教がらみの抑圧的な父娘関係からの脱出(開放?)のきっかけとしている恋愛関係もつっこみ不足で愛情なのかなんなのか描き方が薄っぺらいです。
これ、サイキック・オカルト系にせず、父娘の愛憎もの系にすればヨアキム・トリアー監督の良さが出たんじゃないかと思います。
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