Tsuneno

X-MEN:ダーク・フェニックスのTsunenoのネタバレレビュー・内容・結末

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

ホントの事を言えば、この作品については正直乗り気じゃなかった。公開予定がリリースされ、銘打たれた「最後のX-MEN」というキャッチコピーを見て、その意味を考えているうちに、色々と察してしまったからだ。

ミレニアムの頃からここまで映画版X-MENシリーズを追いかけて来た人なら、この作品がこのタイミングで公開される事に違和感を感じたのではないかと思う。「なぜ今更ダークフェニックスなのだ」と。
この作品の主人公にして、シリーズ全般にも大きな意味を持つフェニックス(ジーン)のこの物語は、なぜかここまでの間、映画版X-MENにおいて直接語られる事がなかった。
史上最強のミュータントにして、サイクロプスとウルヴァリンという主人公級キャラクターの間で三角関係になるジーンは、ホントはもっと際立っても良かった筈のキャラクター。
そして、このダークフェニックスという作品は、「最強のX-MEN」が「最恐のX-MEN」になる、そして正義の味方としての地位を獲得したX-MENが再び人類に恐れられるようになる重要なターニングポイントだった。

にもかかわらず、なぜかこの作品はシリーズ中に登場する事はなく、さりとて無かったことにもならず、シリーズの途中で「起こっていた」事として取り扱われた。

とまあ、「なぜ途中で作品化されなかったのか」はともかく、問題は「なぜ今更作品化されたのか」については、昨今の事情をよくよく考えると、何となく理解できてしまう。20世紀フォックスがディズニー傘下に入った事が直接の原因なんだろう、ということ。

20世紀フォックスがディズニーに買収されるという事は、間接的にはX-MENがMCU(Marvel Cinematic Universe≒アベンジャーズ)へ吸収されることを運命づけられる。
その際、X-MEN陣営が選択したのは、恐らく「MCUへ吸収される前にX-MENを完膚なきまで殺し、かつ残りカスまでしゃぶり尽くす」事だったのだろう。
前作のウルヴァリンでは、既存のX-MENを全員完膚なきまでに殺し尽くした。ただしこの作品では「次世代への引き継ぎ」を匂わせていたため、単体の作品としては納得のできる終わり方だった。
しかし、今作はいただけない。時系列を無視した作品の登場と、大人の事情により出てこないウルヴァリン、そして練りこまれていないストーリー。
この作品を観て、ジーンに感情移入できた人がいれば連絡ください。奢りますから徹底的に議論しましょうというレベルで、本来感情移入できる筈のジーンに感情移入できなかった。というか、ただの厄災じゃんこれ。
義務感として鑑賞しに行ったが、消化試合も良いところで、ほんっっっとうに面白くなかった。面白くなさすぎて、後半はずっとウトウトしてしまった。眠りそうになる事にずっと抗っているのに、脳が「時間の無駄だよ、寝ちゃえよ」と囁きかけてくる。たぶん、脳の言ってる事が正しい。
結果的に、最後の最後でX-MENシリーズを蹂躙した形になった。
これ、ディズニーに対する20世紀フォックス陣営の「嫌がらせ」なんじゃないかと考えた方がしっくりくる。
言い換えれば、自分たちが20年かけて育て上げてきた作品を駄作に塗り替える事を引き換えに、MCUの興行成績を貶める事が狙いなのではないか。
そのくらい、後味の悪い終焉。
Tsuneno

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