月うさぎ

リングの月うさぎのレビュー・感想・評価

リング(1998年製作の映画)
5.0
怖すぎてもう一回観られない。録画もしたくない。映画館で観たら泣くと思う。
自分にとってはトラウマになりそうな、最も怖い映画でした。

日本古来の怪談のモチーフ(古井戸って定番です)を使い、物語の残忍で陰湿な部分と悲惨な末期と呪いの因果関係の設定、
チェーンメール的な不安感に超能力という現代的な恐怖を掛け合わせ謎解き要素もある。ビジュアル的にはゾンビみたいなショッキングなシーンも入れて度肝を抜く。
ストーリーも悲しくて残酷で、やりきれなくて、衝撃的。

自分だったらきっとエゴに徹するな。でも…… とか。
人間性についても考えさせられてしまいました。
そして、ああ、もう。あのエンディングったら…!!

お見事だと思います。

ホラー通ではないけれどこんな映画は他に知りません。
映画を観終わってなお怖さが後を引きました。

この救いのない怖さは日本独自の感覚だと思います。
ここ日本には罪を精算してくれる便利な神がいないのです。

日本において悪霊は退治するものではなくて、供養するべきものなんですよね。
それでも貞子の魂は…。

ビデオに映し出されたモノクロの粗い画質の映像が妙にリアル。
貞子がはいずり出てくるシーンでは泣きそうになりました。
明るい自宅のリビングでテレビで見ていてこれですから…

ラベルのないビデオテープというブラックボックス的な存在感がまたいいです。
デジタル化されノイズも無くなったクッキリ映像にDVDのピカピカペラペラのディスクと液晶薄型大画面テレビでは、リアリティにも怖さにも欠けるでしょう。
大画面だと、這い出さなくても普通にヒョイっと出てこれそうですし、箱型のビデオテープだったりブラウン管テレビだから何か中に入っていそうに感じる訳です。今の人が今の環境で観たら昔話になってしまって怖さも減る気がします。

そう考えると「リング」も、もはやクラシックなんでしょうね。
ビデオ時代に観ておいてよかったです。
月うさぎ

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