兄が、知的障害のある弟を警察から取り戻そうと画策してドツボにはまっていく、どうしようもない一夜を描いている。
計画性などまるでないくせに咄嗟の機転にはやたら頭が回るクズ兄貴だが、行きずりに行動を共にすることになった男に対して、「俺はお前みたいなクズとは違う」というようなことを言って怒鳴る。クズとは違う一点は、弟を守りたいという強い思いなのかもしれないが、その独り善がりは結局弟に依存しているということに他ならない。
執拗に、少しストレスを感じさせるレベルで顔のアップを多用しつつ、突然俯瞰視点を入れてくるところなど、なかなかに演出のクセがある。そのクセが良い。
