イスケ

L.A.コールドケースのイスケのネタバレレビュー・内容・結末

L.A.コールドケース(2018年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

ビギーの母親役がまさかの本人!!(驚)

序盤でジョニデ演じるラッセル・プールは、記者のジャックに対して、ビギーではなく本名の「クリストファー」か「ウォレス氏」で呼べと言った。

これは、「一人の人間として見る」というプール氏の基本理念であり、今でも付き合いのあるビギーの家族に対しての心遣いという側面が大きいのだと思う。

それと同時に、腐敗しきった市警を正したいという気持ちが(劇中の言葉を借りるならば)病的に強かったのも分かる。

カリスマ同士のドラマティックな事件、
もっと言えば「伝説」であるかのような光のあて方に気を逸らされてはいけない。その裏側にある暗部が隠されてしまう。

「実力で昇進するのは珍しい(=実力以外のポイント稼ぎが大切)」とか「うまく立ち回れ」とか色々言われてましたけど、彼の理念からすれば眼中になかったんでしょう。見ていてその高潔さがよく伝わってきたのが良かった。


1991年にロドニー・キング事件が起き、2020年にジョージ・フロイド事件が起きている。

そして、90年代に起こったビギーと2パックの射殺事件は、今なお未解決な上に「捜査中」という名目の蓋までされているのだと劇中で分かった。

中学生だった自分は気がつきゃ40歳を超えてるんですが、警察の腐敗はなんにも変わっちゃいないじゃないかというお話ですよ。
その根底にあるのがやはり終わらない差別なのかなと。

デス・ロウ側についてた一人の黒人警官(=プール氏と撃ち合いになった警官)の言葉から察するに、市警の中でも白人とは立場が大きく違うんでしょう。

金とはまた違う、「自尊心」の部分の満たされなさが彼らをギャング側に流してしまう要因のひとつなのかもしれないなと感じましたね。


僕はこの時代のHIPHOPを特にアツく体感してきた世代なので、ビギーも2パックもシュグナイトもバッドボーイもデスロウもよく理解している属性。
同じような人からすれば、本作で特段目新しい話はなかったと感じたんじゃないでしょうか。(細かい話は別として)

だからこそ、「元刑事のラッセル・プールの視点」で描かれることはとても新しいと感じたよ。
たぶん、この視点で描かれている映画って無かったんじゃないかな?
イスケ

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