故チャドウィック・ボーズマン主演の法廷劇。日本は劇場未公開。
以前も何かのレビューで書いたが、人種差別を扱った作品を劇場公開しないのは、自国が人種差別に無関心だと公言しているようなもので、恥ずかしくないのだろうか。大方、数字が取れないとかそんな理由でスルーしたのだろう。
いやいや。
チャドウィック・ボーズマンが2016年に「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」に於いて、"ブラック・パンサー"ティ・チャラ役で一気に知名度を上げた翌2017年の公開作だけど?プロモーションの仕方によっては、十分観客動員数を見込めたと思うけどなぁ。
1967年にアフリカ系アメリカ人として史上初めて合衆国最高裁判所の判事に任命されたサーグッド・マーシャルの若き日の弁護士時代を描く。
まだ人種差別が色濃く残る、1941年の米コネチカット州。黒人運転手ジョゼフが、白人女性エリー(ケイト・ハドソン)への強姦罪と殺人未遂の容疑で起訴される。全米黒人地位向上協会の弁護士マーシャル(チャドウィック・ボーズマン)は、地元の弁護士フリードマン(ジョシュ・ギャッド)を相棒にして、裁判で争う事に—— 。
実は初っ端から出鼻を挫かれるマーシャル。
他州の弁護士だからと発言も証人尋問も判事から認められないという事態が発生。マーシャルが耳打ちし、フリードマンが彼の操り人形の如く発言するという、妙な展開に。
厳格な判事を演じるはジェームズ・クロムウェル。「ベイブ」で優しいお爺ちゃん役だったのに。本作ではえらく厳しいじゃないの。
最初は乗り気ではなかったフリードマンも、次第にマーシャルに感化され、絆を深めていく2人。
こ、これは…!!
法廷バディムービーだ!!
マーシャルは黒人。
フリードマンはユダヤ人。
互いに差別をされる側。
フリードマンの妻の従兄弟がポーランドで収容所送りになったという1シーンがある。そういった時代背景をきちんと描けているのも好感が持てる。
被害者である白人女性エリーの証言には幾つもの矛盾が…。最後まで惹きつけられる法廷劇に緊張の糸は途切れない。
ラストシーンで白人専用の手洗い場を映すあたりも芸が細かい。
これはなかなかの傑作。
故に劇場公開されなかったなんて勿体ない。