T太郎

ブラッド・ワークのT太郎のレビュー・感想・評価

ブラッド・ワーク(2002年製作の映画)
3.6
943
クリント・イーストウッド監督、主演のサスペンススリラーだ。

イーストウッド演じる主人公の丹念な捜査過程が分かりやすくて面白い。
オーソドックスながら良質なミステリー作品である。

テリー・マッケーレブはFBIの心理分析官だ。
“コードキラー”という連続殺人犯を追っている。
奴は毎回、殺人現場にテリーへのメッセージを残すのだ。
一体なぜ。

しかし、テリーは病に倒れ、犯人は闇の中へと消えていったのである。

2年後・・
テリーは心臓移植を受けていた。
体調は万全ではないが、なんとか一命を取り止めたのだ。
FBIを辞め、クルーザーで船上生活をしている。
悠々自適とかいうやつだ。
元気そうで何よりである。

そんな彼の元にある女性が訪ねてくる。
「妹を殺した犯人を捜して欲しい」

なんで?
ボク関係ないですやん。
もうFBI辞めてますねん。
(意訳)

しかし、そうではなかったのだ。
その殺された妹こそが、テリーの命を救った心臓ドナーだったのである。
彼女の死によってテリーは生かされた訳だ。

よ~し、やったるで!
イェイ!
(意訳)
という訳で彼は捜査を開始するのだ。

それは、ごくありふれたコンビニ強盗かと思われた。

だが、鋭敏なテリーと私は監視カメラの映像から、いち早くこの犯行の特異な点に気付くのだ。

そこを起点に地道に捜査を進め真相へと迫っていく過程が、冒頭でも述べたが、非常に分かりやすくて面白かったのである。

これは犯人探しの物語だ。
意外な犯人、に主眼を置いたミステリーだと言える。

だが、それは失敗と言えるかもしれない。
犯人は早い段階で分かってしまうのた。

     以下ネタバレ

テリーの相棒役は、ジェフ・ダニエルズだ。
何の害もなさそうなコメディ要員に見えるのだが、明らかに不自然である。

次々と浮かび上がる容疑者。
もっともらしいのだが、如何せん弱い!
意外性の欠片もない。

そんな中、後方でチョケているジェフ・ダニエルズ。
出番も少ない。
有名俳優がそんなもんで終わる訳ないのだ。
逆に怪しいのである。

鋭敏な私は、いち早くそこに気付いたのだ。
ジェフが怪しい、と。

こういうフーダニット物は複数の容疑者を準備しておかなければならない。

だが、悲しいかな映画においては俳優の格で犯人が分かってしまうのだ。
論理や理屈ではなく。
そこを見越したキャスティングをお願いしたいものである。

70代のイーストウッドだ。
やはり渋い。
かっこいい。
私もあのような大人になりたいものである。
T太郎

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