長きに渡る、イギリス領インド帝国の歴史に幕を下ろした、
インド最後のイギリス総督『ルイス・マウントバッテン』。
インド帝国の主権移譲に費やした、
彼と家族の努力と苦悩を描いた実話に纏わる物語です。
時代は1947年、第二次世界大戦終結後、
チャーチル政権の最中の出来事です。
前任の総督と比べ、思慮深く真面目な性格のルイスは、知的で穏やかな妻に支えられ、
インドが直面する深刻な問題を真摯に受け、解決へ導こうと悪戦苦闘をします。
以前よりインドには沢山の宗教が混在し、
多数派のヒンドゥー教と少数派のムスリム(イスラム教)の2派に分かれ対立を繰り返し、
暴動へと及ぶ行為もしばしば見受けられる程でした。
インドを円滑に独立させる為、
各宗教のまとめ役達と話し合いを重ねます。
独立運動首謀者の『マハトマ・ガンディー』のインド統一の願い儚く、
多数派ヒンドゥーを含む多宗教連合は"インド"、
少数派のムスリムは"パキスタン"、
と国を二つに分かつ事になります。
一方、宮廷で秘書として働くアーリアと、
元警官で、以前彼女の牢獄に居た父を通して知り合っていた新人使用人のジークは、
運命の再会を果たします。
インド独立の歴史的瞬間と二人の恋、
そして宗教に阻まれたインド統一の願い。
歴史の流れの裏側が、マウントバッテン総督を通して描かれて行きます。
歴史が大きく動く時には、
必ずと言って良い程、何処かの国の利権が絡み、陰謀が渦巻くもの。
イギリスがインド帝国を領土にしたのも、
二つの国に分断したのも、
やはり利権絡みだったのか…と妙に納得してしまいます。
(チャーチルが描いた筋書きがあったのが、不思議と違和感を感じさせませんでした^^;)
インド独立間際の宗教の対立、暴動に寄って沢山の人が犠牲になり、
その光景の悲惨さに思わず目を逸らしてしまいそうになりました。
1ヵ月くらい前のニュースでもインドとパキスタンの間での情勢が悪化して来ているとありましたが、
未だ争いが絶えない現状に、思想や宗教の違いの難しさを感じ哀しくなります。
いつかは"バジュランギおじさん"の映画のラストシーンの様に、
お互いが歩み寄れる日が来たら…。
綺麗毎で行かないのは承知の上でも、
争いの減ることを願わずにはいられませんでした。
