映画は三部構成になっていて、一章は家族、二章は正義、三章は海。この三章でグッと心を掴まれた。
アスペクト比が変わるホームビデオの映像が暗く緊迫した物語の合間に挟まれることによって緊張はほぐされ、微かな希望を与えてくれる。後半は手持ちカメラを取り入れたりと気持ちの揺れや不安定さがものすごく伝わってきて苦しかった。
ラストの彼女の決断は予想はしていたけれど実際に近距離で見せられるとやはり辛いものがある。黒沢清監督の『Seventh Code』のラストみたいに、爆発して燃えてゆく車をずっと遠くから眺めたかったとか思ってしまった。彼女はたしかに二度決断していて、もしこれがわたしだったら初めの決断のままいくだろうな。二度目のあの決断は誰にもできるもんじゃないから。
ダイアン・クルーガーがひたすらかっこいい映画。人として、女として。
